自転車用サングラス


直射日光を避けるほか、眼を異物から守る役割も果たす「アイウエア」。ブランド、機能、形、さまざまなタイプがあるため選ぶのにも迷ってしまいます。特に最初は「流線型でカーブが深いものならなんでもいい」などと思ってしまいがちですが、シーンや目的、顔の骨格によって、選ぶべきアイウエアは大きく異なります。そこで今回から、スポーツ用アイウエアの特長と選び方のポイントについて説明していきます。

サングラスの目的


まずスポーツ用アイウエアとファッション用アイウエアの違いについてお話をします。同じ「アイウエア」でも形状や機能は大きく異なり、その一番の違いが「レンズのカーブ」です。

一般的な眼鏡やファッションアイウエアはカーブの浅いレンズを使い、上から見るとレンズ面がフラットになっています。これに対して、スポーツ用ではかなりカーブの深いレンズを使用。特に自転車の場合は、前から飛んでくる虫や砂、ホコリが目に入ることが大きな障害になります。そのため深いカーブのレンズで顔を覆い、風の巻き込みや異物の侵入など、眼への直接的なダメージを防ぐのです。またスポーツアイウエアには有害な紫外線をカットする機能はもちろん、一部のものには対象物をはっきり認識しやすくする効果もあります。

サングラスの目的
(1) 風の巻き込みを抑える
(2) UVカット
(3) ギラつきや眩しさを抑えて集中力を高める
(4) 転倒などの事故の時に眼 顔の保護。
(5) 軽く快適である
(6) ゴミ・埃・枝・葉・虫などの外的要因から目を保護
(7)路面の状況把握
これらのポイントを押さえたサングラス選びが重要。

レンズ

各パーツのなかでも見え方に直接かかわる部分なので、その選び方は非常に重要です。また単に視認性を高めたものだけではなく、それぞれの目的やシーンを想定して作られた高機能レンズもあります。

(素材)
まずはレンズの基本、素材と形状について知っておきましょう。耐久性やクラッシュ時の眼への衝撃を考えた場合、レンズ素材に必要とされるのは柔軟性です。プラスチックの一種である「NXT」は高い剛性を誇りながらも、ふたつに折り曲げられるほどの柔軟性をもつ素材。割れにくく、衝撃を吸収してくれる頼もしい存在です。


一般的なアイウエアに使われているのは、同じくプラスチックの一種である「ポリカーボネート」。透明性があるため視界は明るくクリアですが、柔軟性ではNXTに劣ります。


(レンズ別特性)
ブラインド効果で眼にやさしい「偏光レンズ」

直射日光はもちろんですが、路面の照り返しなど見る対象物以外からの光も、眼にとってかなりの負担になります。そのような光の乱反射を抑えるのが「偏光レンズ」です。眼が疲れにくくなるほか、特にアスファルト上では路面をはっきりと見ることができます。ただし光をカットするよう三枚構造になっているため、どうしてもレンズが暗くなるのが難点です。

「調光レンズ」は1本でフル対応

天候や時間によって光量は大きく変わるので、アイウエアはシーンに応じて使い分けていきたいところ。しかし特にロングツーリングなど荷物を抑えたいシーンでは、何本も携帯することはできません。そんなときは「調光レンズ」を使用したアイウエアをもっていると便利です。紫外線を吸収することでレンズ濃度を変化させ、ひとつのレンズで幅広い

「撥水レンズ」なら雨の日でも心強い


水だけではなく油分まで弾くオークリーのハイドロフォビック加工

さらに雨天時にも対応できるのが、撥水加工が施されたレンズ。雨や泥がつきにくく付着しても落ちやすいので、つねにクリアな視界を確保でき、メンテナンスも非常に簡単です。スポーツアイウエアの最高峰ブランド、特に「オークリー」が採用しているハイドロフォビックというレンズ撥油加工は、水だけではなく油分まで弾きます。

レースの駆け引きには「ミラーレンズ」

マジックミラーの原理で表情をシャットアウト

レースに集中したい人におすすめなのは「ミラーレンズ」です。シドニー五輪の女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子選手が、35km地点でサングラスを投げたシーンを覚えているでしょうか? それまで淡々と走っていたかのように見えた高橋選手が、沈黙をやぶりラストスパートをかけた瞬間でした。その際に使っていたサングラスのレンズがミラーレンズ。ミラーレンズはまぶしさを抑えるだけではなく表情が読まれないため、このように集中力を高く維持することができるのです。心理戦の要素が強い集団で走るロードレースには、特に最適でしょう。

レンズカラー

アイウエアのレンズは、天候と路面状況によって適したカラーを選びましょう。その際、見極めのポイントとなるのが「コントラスト」。コントラストを高くすると濃淡がはっきりするので視認性も高く、対象物をしっかりと捉えることができます。一方でコントラストが高すぎると眼の疲労につながるため、シーンに応じた使い分けが必要です。

6色のカラーレンズでテスト
今回テストで使用したカラーは、「クリア」「グレー」「アンバー」「イエロー」「ブルー」「レッド」の6色。それぞれのカラーレンズを使用した場合の見え方を比較します。路面状況による見え方の変化を知るため、オンロード(一般道路)とオフロード(山道)の両方でテストしました。個人により印象は変わりますが、それぞれをロードバイクで走る場合とMTBで走る場合と考えて参考にしてください。

左/一般道路、右/山道 撮影時の天候は曇り


まず初めのカラーは「クリア」。普段と視界が変化しないため取り入れやすく、安心感があります。暗い雨天時や山道ではこの明るさがベストでしょう。MTBで明るい場所からいきなり暗い森の中へ入ったときなどでも、コントラストが少ないクリアレンズなら対応することができます。しかし、撮影時のような曇天なら問題ありませんが、晴天時にはもう少しコントラストが高めのカラーレンズのほうがいいでしょう。


左/一般道路、右/山道 撮影時の天候は曇り


「グレー」もほとんど色味に変化はありませんが、クリアに比べてレンズの明るさを落としているため、晴天時のまぶしさを抑えることができます。ただし、このメリットを活かすことができるのは晴天時や明るい場面のみ。濃度にもよりますが、写真のような曇りの条件ではかなり暗く感じます。またクリアレンズと違って急な明るさの変化には対応できないので、走行中の天候や光線条件が大きく変わらない場合に使用しましょう。


左/一般道路、右/山道 撮影時の天候は曇り

こちらの「アンバー」は、晴天時から曇天時まで使えるオールラウンドなカラーです。コントラストがやや高めですが、見た目の印象は比較的自然。写真のように山道では若干暗くなるので、どちらかといえばオンロードのほうが適しています。


左/一般道路、右/山道 撮影時の天候は曇り

「イエロー」は暗い曇天時に使いやすいカラーです。コントラストを強めるため、写真を見ると山道では立木が強調されていることがわかります。そのためどちらかというと、オンロードなど路面の凹凸や障害物が少ない路面のほうが向いているでしょう。ただし、全体的にハイコントラストすぎてのっぺりとした印象になってしまうので、扱いが難しいカラーといえます。


左/一般道路、右/山道 撮影時の天候は曇り

「ブルー」はコントラストが高めですが、とても自然な視界を得ることができます。オンロードでは裸眼に近い印象。明るく透明性が高いので、山道では日陰の部分でもよく見えます。オフロードに最適なカラーです。

左/一般道路、右/山道 撮影時の天候は曇り

「レッド」はブルー以上にハイコントラストになるカラーです。オンロードでは見えやすい印象ですが、オフロードの暗い部分になるとやや見えづらくなります。こちらはオンロード向きといえるでしょう。

扱いづらいイメージのあるブルーとレッドですが、いずれもはっきりとした視界を得ることができ、晴天時から雨天時まで対応することができます。共におすすめなハイコントラストカラーです。

いかがでしたか? このように、カラーによって見え方はまったく異なります。走るシーンを想定して選ぶことはもちろんですが、見え方は人によって異なるので、実際に試して自分に合ったものを選びましょう。


またこれら以外にもネオコントラストレンズも選択に入れて見てください

ベストなアイウエアー

各パーツの特長をみてきました。しかしその知識だけでは、ベストなアイウエアは見つかりません。 「スポーツ自転車に最適で、自分の顔にもぴったりなモノがほしい!」。そんなワガママを実現するための、フィッティングのポイントをお教えしましょう。

フィッティングは前傾姿勢で
フィットしたアイウエアを選ぶには、姿勢と顔の向きを考慮する必要があります。スポーツ自転車では上半身の前傾姿勢が深く、顔はやや下向き。そのため一般的なアイウエアと異なり、バイクに乗ったことを想定した前傾姿勢でフィッティングを行う必要があります。また常に前方から風を受けるため、ある程度の防風性も必要。ただし気密性が高いと汗で曇りやすいので、防風性と同時に通気性も確保されているデザインのレンズを選びましょう。

チェックするのは4つのポイント
ではさっそく、フィッティング時に注意したいポイントをご説明します。下記の4点をよく覚えておいてください。

1.きつすぎず、ゆるすぎないホールド感
フレームやテンプルのフィット感を求めるあまりホールド力の高いものを選ぶと、こめかみが痛くなることがあります。かといって、ゆるすぎると顔の動きに追従できないので、長時間の装着でも痛くならない適度なホールド力のものを選びましょう。

2.鼻骨にのっている
ノーズ部分はアイウエアを支えている重要なポイント。フィッティングを行う場合には、おもにこの部分で調整します。前傾姿勢でもアイウエアがずり落ちないかどうか確認してください。

3.フレームの上部分が眉毛に沿っている
眉毛ラインにフレームが沿っていると、見た目にカッコよく見えるだけではなく、前傾姿勢での視界を確保しながら風の侵入も防ぎます。

4.レンズの下部分が頬にあたらない
頬にレンズが乗っかるようだと、頬の動きによってレンズが上下して視界が変化してしまいます。逆にレンズが顔から離れすぎていても安定感がありません。


どんなサングラスがいいの?

あくまでも一例ですので実際は店頭で合わせてみてください。

計算された機能と美しさ

最初に紹介するのは、ルディープロジェクト「シルロ」です。見た目にも美しいこちらのレンズは柔軟性のあるインパクトXレンズで、クリアー調光タイプは紫外線透過率16〜46%の性能を備えています。日本人の鼻に合うようノーズの調節が自分で可能なのでフィット感も抜群。

雨の日でもオークリーなら強い

Oakley/FLAK JACKET/価格:23,100円〜
アイウエアの最高峰、Oakley(オークリー)の「FLAK JACKET」は、レンズに撥水・撥油加工であるハイドロフォビックを採用したモデル。雨の日でもクリアな視界を得ることができます。さらにセミリム仕様になっているのでレンズ交換も簡単です。純正レンズでさまざまなカラーが用意されています。

改良が進むにつれて、アイウエアの機能やデザインの幅は広がっています。用途や目的、好みによって選ぶことはもちろんですが、その際は必ず正しいフィッティングを行い、自分にぴったりの1本を見つけましょう。
又、当店ではカスタムフィットもお受けいたします。

そしてこれらのモデルは度付きも対応いたします